殺しに来て殺された者を祀る靖国神社

shirasagikara2013-12-30

12月26日、安倍総理靖国神社に電撃参拝した。中国、韓国の反発だけでなく、オバマ政権も不快感を示した。小泉総理の靖国参拝以上に深手を負うのでないか。
靖国神社は、今年のNHK大河ドラマ「八重の桜」で有名になった、会津激戦などの戊辰戦争で死んだ「官軍」を弔うためにできた神社だ。明治2年いまの九段坂に「招魂社」を建てたのが始まりだ。白虎隊など「賊軍」の兵士は祀らない。維新の戦争で祀られた官軍兵士は7751人。明治10年西南戦争での「官軍」の死者・6971人。これも西郷隆盛や「賊軍・薩摩」は除外。会津や薩摩にとり、官軍だけ祀った招魂社は「われわれを殺しに来て殺された者の神社」だ。会津、薩摩は無念であったろう。(靖国神社改称は明治12年)。
それ以後はすべて海外出兵の戦死者だ。日本防衛戦争ではなく、遠征侵攻軍の死者だ。日清戦争の戦死者・13619人。台湾出兵・1130人、北清事変(義和団事件)・1256人、日露戦争・88429人。第1次世界大戦とシベリア出兵・4850人。満州事変・17161人。日中戦争188196人。アジア・太平洋戦争2123651人。合計245万人あまりが祀られている。
中国を始めとするアジア諸国にとっては、自国の人民を「殺しに来て殺された者の神社」が靖国神社だ。さらに戦死でもないA級戦犯の戦争指導者合祀後は、天皇ですら参拝を見あわせた軍国主義のシンボル神社に、総理が「総理名」で参拝したことに反発する。
もちろん総理にも信仰の自由はある。神社参拝しようと、お寺詣りに行こうと、教会で礼拝しようと自由だ。そのさい「公用車は使わない」「玉串料・布施・献金は自費」「官名・内閣総理大臣と記帳しない」の三原則を守ればよい。簡単なことだ。賢明な三木総理はそれをやった。しかしその一つでも冒すと日本国憲法に触れる。総理の靖国参拝はこの原則に触れ、「靖国」と聞くと心が騒ぐ中韓両国などの立場に立って、外から靖国を見る想像力に欠けた。深手を負うだろう(資料・国立国会図書館調査局「靖国神社問題資料集」(編集・藤尾正人、椎名慎太郎、土屋恵司、1976)。
「敵がエルサレムの城門から入るなどと、地上の王のだれが信じえたであろう」(哀歌4・12)<写真は庭のサザンカ