「日本は滅びるね」。本を読まない日本の大学生

shirasagikara2014-04-27

花子とアン」。いま評判のNHK朝の連続小説。翻訳家で著名なクリスチャンだった村岡花子さんの伝記が下敷きです。その少女時代、お父さんから「おやゆび姫」の絵本をもらい「ほんものの本だ」と喜び、本が読みたくて教会の図書室に忍び込みます。むかしの子どもは、本など買ってもらえず活字に飢えていました。
わたしも子どものころ、毎年くるみの実がなるころ、ひいばあさんに頼まれて、くるみ林の木に何本も登り、ゆさゆさ実を落とし、どっさり拾って帰りました。別の孫たちが砕いてびんつけ油にするのです。いつも銀貨50銭をお駄賃にくれました。それで市立図書館の6ヵ月定期券を買うのが楽しみでした。むかし公立図書館は有料です。そこで親が買ってくれない少年むけの本を読みました。漱石の「坊ちゃん」を読み、こんな面白いものがあるかと驚きました。
ところが「朝日新聞」4月21日の夕刊に、「大学生1日あたり読書 0分4割超」の記事が出てたまげました。大学生協の実態調査(国公私立大30校)だそうですが、暗澹(あんたん)とした気分になりました。ひまがあればスマートフォンに手が伸びるのだそうです。大学生といえば、日本の将来を担う根幹でしょう。その4割が古今東西の叡智(えいち)が綾なす「書物」なしに育てば、日本は滅びるでしょう。
「日本は滅びるね」と、夏目漱石が「三四郎」に書いたのは、1908(明治41)年。日露戦争で大国・ロシアに勝ったと日本中が浮かれていたときです。
「亡びよ」の詩を、内村鑑三の高弟・藤井武が書いたのは1930(昭和5)年のこと。中国への侵略戦争が始まる前年です。「わが愛する祖国の名は遠からず地から払われるであろう。ワニが東から来てこれを呑むであろう。亡びよ、この汚れた処女の国、この意気地なき青年の国!」。その15年のち、東から米軍が来て軍国日本は亡びました。
きょうも上海の友人から、わたしが送った新刊への礼状に「活字を読む楽しみはネットではかないませんね」とメールが届きました。スマートフォンでなく、せめて「電子書籍」でもいい、活字を読んでほしいもの。人生の根っこが養われるはずです。
「この書物(聖書)は、キリスト・イエスへの信仰を通して救いに導く知恵を、あなたに与えることができます」(第?テモテ3・15) <写真は庭の牡丹>