敗戦記念日 それからのガラガラとニョキニョキ

shirasagikara2014-08-11

八月十五日が近づくと、わたしのような老人は、あの暑かった1945年の「日本敗戦の日」をおもいだします。一つの国が亡び、目の前で歴史が大きく動きました。あの敗戦後、日本ですごいことが起こったことを若い方たちにも、知ってもらいたいのです。
まず神とされた天皇が「人間宣言」をして天から地に降りました。無敵陸軍、無敵艦隊と豪語した「帝国陸海軍が消滅」しました。戦争を指導した軍人、政治家、官僚が「公職追放」されました。富を独占した三井、三菱、住友、安田などの「財閥が解体」されました。「農地解放」で日本中から地主が消えました。「天皇」「軍部」「政権・官僚」「財閥」「地主」、これら日本を支配していた巨大なものが、ガラガラ崩れたのです。
この崩れた廃墟から、ニョキニョキ生えたのが「言論・思想の自由」「労働者の結社の自由」でした。あふれ出たマルクス主義の潮流のなか、雨後の筍のように労働組合がうまれました。地主の搾取に小作争議で抵抗した農民が、すべて独立自営の農家になりました。女性が参政権を手にしました。いま当たり前だとおもわれるこれらのことは、明治以来、日本人が血みどろの奮闘をしてやっと手に入れた「すごいこと」でした。
またキリスト教が民主主義の光のもとに力を得、一時は、総理も、衆議院議長も、最高裁長官も、東大総長も、キリスト者がならび立ちました。みな労働者の権利や学問の自由に身を投じた方々です。
敗戦後は家も食もない苦難の時代でした。しかし日本人には「時代はよくなる」という予感がありました。「戦争と圧制の時代」は終わり民主国家を目指したからです。その困難の時代に日本は義務教育を9年に延長し教育制度を改革しました。百年の計の基本を教育に置いたのです。この混乱のさなか、ガラガラポンと金色の玉が転がり出ました。主権在民。人権尊重、戦争放棄の「平和憲法」です。だから敗戦後69年、日本は戦争をすることがなく経済に専念できたのです。安倍総理は危険な道に踏み込んでいます。
日本は戦争に負けてほんとうによかったのです。ただあの戦争で、日本が深刻な傷を与えた中国など、アジアの国々の痛みは、忘れてはなりますまい。
「主は、決してあなたをいつまでも捨ておかれはしない」(哀歌3・31) <写真は8月のノウゼン花>