あとふた月で104歳

shirasagikara2006-06-23

母はひるま居間のソフアで寝ている。「8月23日の誕生日まであとふた月。もうすぐ104歳」というと、少し考えて「そうやな」。半紙に「恵みといつくしみが いつもわたしを追う」(詩篇23・6)と大きく書き、目の前にかざすと、めがねもかけず、寝ながらじっと見つめて声を出して読む。「何か食べたいものある」「毎日おいしいものをいただいて、言うことない」。
「トイレ」と言うので車椅子に乗せる。骨が邪魔してこれ以上やせられぬほど、骨皮筋子さんになって軽い。しかし骨太だ。トイレまで運ぶと、介護棒につかまり、何とか自分で向きをかえて座る。ここからあとは妹が世話をする。
天皇陛下に寝ていてよろしいかと聞いて」という。昨年、天皇・皇后がわが家の南の狭い道を通り、近くの老人施設訪問の記憶が残っている。寝ていて失礼という気持ちだ。「うん、よろしいと言われた」というと、あまりの早い回答に疑う表情。
夜9時ごろ、いざ寝る段になると、一日の疲れが出るのか「自分の家へ帰りたい」と、よくむずかる。しかし派手な妄想は出ない。それだけ体力も落ちているのだ。就寝のお祈りをすると「アーメン」という。耳もとで「スウ、スウ」と寝息を聞かせると、眠りに落ちる。81歳でまだ母親と話ができる。まれにみる祝福。
「なんという恵み なんという喜び」(詩篇133・1)
(写真は6月13日、ハンカチで袱紗・ふくささばきをしている母)