香り立つ厚焼き卵

もう何十回も厚焼き卵をつくったが、まだ納得するものが焼けない。
卵は5個。水は30cc、砂糖小さじ4はい、塩ひとつまみ。醤油少々、みりんとダシの粉少し。それらを底に砂糖が溜らないようによくまぜる。
長方形の厚鍋をガスの火にかけ、油を引き炎を調節。鍋底をガスコンロにつけないことが大事。少し離しつづける。
熱した鍋に、ジャーと溶き卵を流しこむ。その音、その香りがなんともいえない。半熟より固まると、わたしは手前半分に韓国からいただく海苔をのせる。そしてむこう半分を海苔の上に返す。返したあとに油を引き、手前の卵を押し出す。そこへまた油と卵を注ぐが、押し出した卵の下奥に溶き卵をまわすのがこつ。そして海苔。その繰り返しだ。
出来上がれば、小板で蓋をして返す。冷ましてから切ると、鮮やかな黄に海苔の黒。
長々と厚焼き卵のレシピを書いたのは、ひとりの強健なクリスチャンが出来上がるのに似ているからだ。まず必要なのは調味料。生卵に味が加わるように、信仰も辛い甘い塩っぱいの経験が大事。つぎに鉄板で焼かれる、鍛えられる、それぞれの人生。それに耐える。しかも何度となく熱い下へもぐっては上を支える。こうして、鍛えられたクリスチャンから放つ香りと彩りは見事。
「苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む」(ローマ5・3)