朝めし前の運動

朝の運動は、歯ブラシをポンと上に飛ばし、落ちるのをパット手でつかむ瞬発力の確認から始める。つぎがうがい。水を口にふくみ、どれだけ後ろの壁が見えるかを測る。それに水を鼻から吸い込んで、水で何度も鼻をかむ。これで風邪を引かない。
ついで床に腰を下ろし、両足首をつかんで引き寄せ、背筋をのばし「パーテル・ヘーモン(天の父よ)」と、ギリシア語で「主の祈り」を大声で唱える。つぎは「八つの幸福」だ。これは両手を目の高さであわせ、全力で押しながら「マカリオイ・ホイ・プトーコイ(幸いだ、貧乏人)」と怒鳴る。5つめから両指を引っ張り「マカリオイ・ホイ・エレーモネス(幸いだ、憐れみ深い人々)」とつづける。
そのあと足首をつかみ、おでこを足指へ曲げる。そのうち親指に鼻が着き、おでこが床を打つ。50回曲げてやめる。
さらに正座して、足を曲げたまま後ろへ倒れる。そこで怒鳴るのが「コリント人への手紙」13章の「愛の賛歌」だ。「エアン・タイス・グロッサイス(たとい異言を)」と、怒鳴りながら身振りを加える。「アララゾン(騒がしい)」では耳に指を入れ、「わが身を」で胸を叩く。「顔と顔」でも自分と相手の顔を両手で打つ。最後の「いまや(ヌウニイ)信仰と希望と愛が」で指を三本立てる。そして「最大なのは愛(へー・アガペー)」で中指を残す。そのあと腕立て伏せを50回。1月の84歳の誕生日は84回。ただ脚力の衰えは深刻。
むかし白井きく先生にギリシア語の新約聖書を習ったころ、よく暗唱させられた。そのころは「山上の垂訓」のあちこちや、「ヨハネ福音書」1章も18節まではすらすら言えた。84歳のじいさん、ボケ防止にきょうも怒鳴っている。もう30年、健康診断はしない。血圧も知らない。予防注射もしない。いつ死んでもいいのに、主に生かされている。
「あなたの御言葉が見いだされたとき、わたしはそれをむさぼり食べました」(エレミヤ15・16)