旅人をもてなす韓国の家庭

shirasagikara2006-05-25

韓国へはこれまで一〇回ほどたずねたましたが、ほとんどクリスチャンの家庭か教会に、七〇回以上泊めていただき、韓国人の暖かい心にふれました。
民家では、あさ主婦の料理の音と香りで目ざめます。韓国人は朝食をしっかり食べる習慣があるからです。今はだいぶ洋式になったといわれますが、朝からたくさん料理のお皿が並ぶのです。それにスープの種類の多いこと。みそ汁に牛肉を入れる発想は日本にはありません。
NHKで放送した韓国時代劇「チャングムの誓い」でわかるように、韓国では日本にない宮廷料理の伝統があり、それが民間にもひろがって、食の文化は奥深いのです。韓国料理と聞くと「辛い」と日本人はおもいがちですが、けっこう辛くない料理もあって驚きます。
朝の主婦は海苔つくりも手早いもの。むこうが透けて見える大きな海苔を一枚火であぶり、油を引き塩を振ります。また一枚あぶって重ねて油と塩。海苔の上下に油と塩がしみる仕掛けです。最後にハサミでざくざく切り爪楊枝をぶすり。とにかく韓国人の海苔を食べる分量がちがうのです。日本の旅館の朝食の細い海苔数枚を韓国人は笑います。それに日本製の海苔はべったりと透き間がなく、これは「倭式」といって喜ばれません。
韓国の家には日本の床の間と押入れがありません。しかし多くの家に、大きな螺鈿細工の見事なタンスがあり洋タンスをかねています。オンドルが温かいためふとんは薄く、それを長く三つに折って、また三つにたたみタンスにしまうのです。韓国ではどんな貧しい家も、オンドルで煮炊きをするうえ床暖房完備なのに驚きました。
韓国人は古代イスラエル民族の悲劇的体験を、じかにわかる悲惨もなめ、聖書が身を切られるようにわかる民です。だから、この民の賛美の声は驚くほど高く、祈りは朗々と熱を帯びます。
わたしが韓国で、「あなたがたはよく集まる、よく歌う、よく祈る、よく聖書を読む」というと、すかさず一人が「よく争う」と横槍を入れ大笑いしました。悲しみを知る民は笑いも大きいのです。「旅人を親切にもてなし」(第1テモテ5・10)