基督教独立学園、小さいから大きい

shirasagikara2011-05-30

さる5月26日(木)、山形県西南の小国町にある基督教独立学園の「創立63周年記念講演会」で講演をした(内容は藤尾のホームページの「聖書話」に「力は辺境から」の題で掲載、写真は講演当日の講堂、前列左は安積力也校長)。小国町は東京都の23区より広い町だ。、
学園からも見える高峰・飯豊山のすその谷川が、山林をふくめ校地10万坪という広い学園のど真ん中を深くえぐって流れる。そこに「1学年定員26名」「全校生徒78名」「教職員25名」「男子・女子寮を備えた全寮制」で「校長も新人教師も(最低賃金すれすれの低い水準で)報酬は同じ」にした「生活共同体」をつくり、一日中寝食を共にしている。男女共学で服装は自由。テレビはなく、携帯電話もだれも持たない。生徒は朝早くから当番で、農場の手入れ、牧舎の世話をし、食事の準備、配膳、後片付け、食器洗いもすべてこなす。夕食のあとの夕拝は生徒が交代で感話をする。夜には沈黙の2時間がある。それでいて生徒は生き生きして仲がいい。内村鑑三の「学ぶべきは天然 読むべきは聖書 なすべきは労働」をモットーにした生活だ。いま日本のどこに、こんな高校があるだろうか。
基督教独立学園は、鈴木弼美(すけよし)という内村の弟子が始めた。1948年、昭和23年5月26日に開校した。開校当時、山形県では、無着成恭という中学教師の生徒文集「山びこ学校」が昭和26年に出て大評判になり、翌年、今井正監督の映画にもなった。また「青年学級」という農民の自主学習運動が山形県から始まり全国に波及し、昭和28年には「青年学級振興法」という法律までできた。しかし創立まもない基督教独立学園は、無名の中に沈んでいた。ところが、いま独立学園は日本の教育界の先頭集団を走っている。いまやエコの時代、少人数教育が叫ばれる時代。独立学園は63年間、かたくなに、まわりから笑われながら、山奥での少人数教育の形を守りつづけたのだ。時代が学園を押し上げたのだ。
だから独立学園は「小さいから大きい」学校になった。「小さいのに大きい」のではない。「日本人なのにすごいことをする」というのは、日本人を見下している。「日本人だからすごいことをする」は、日本人を尊敬している。独立学園は「小さいから大きい」のだ。
「あなたがたみんなの中でいちばん小さい者こそ、大きいのである」」(ルカ福音書9章48節/口語訳)