2009-01-01から1年間の記事一覧

「イケメン祈り」「イケメン説教」

「十二使徒群像」を6年越しで彫っているが、なかなか仕上がらない。それは彫っている桜材が堅いので、わずか2センチの唇一本、まぶた一筋彫るのにも1000回は刀を入れるからだ。彫刻は忍耐力の教師だ。百回、二百回、三百回と、くちびる一本に力を込める。(…

70歳台が最高

1995年1月、70歳になったわたしはそれまでいた教会を出た。出る理由は「伝道者の賞味期限が切れました」。抜け出す理由にぬけぬけと言ったものだ。教会を出て教会収入は消えたが主が増やされた。自由になったわたしは「賞味期限はこれから」とばかり、水を得…

百歳も、きのうのごとし

むかし日本陸軍にいて、完全武装で背嚢や小銃など30キロほどを担いで強行軍をした。とちゅう立ったままの小休止があった。そのときわたしが「きのうまた、かくてありけり」と、島崎藤村の「千曲川旅情のうた」の2番の切り出しを口ずさむと、すぐとなりの戦友…

愛という言葉の葬式

三浦綾子さんの小説に「帰りこぬ風」という作品があります。札幌の病院で働く、ひとりの看護師さんの、1年あまりの日記の形をとったお話で、病院の人間模様がつづられます。その中で主人公の女性が、ある休日に円山動物園に遊びにゆき、おサルの親子のようす…

祈りはピンポン玉

だれかが号令をかけて「1分間、黙祷!」と集団祈祷をすることがある。8月の原爆記念日とか、敗戦記念日によく見る光景だ。いつも思うのは頭を垂れて黙祷する方々は、「何に」「何を」祈っているのか。 祈りは神との会話だ。会話には相手がいる。それが山の神…

ハンセン病の松本馨さんの聖句暗唱

どんどん聖書を読みすすむのも大切だが、聖句を暗唱するのも大事だ。いざというとき短い聖句がその人を支える。 人間の暗記力は、つちかえば、つちかうほどのびる。学校の先生は、専門の知識を山のように覚えている。歌手もたくさんの歌詞を忘れない。演奏家…

テポドンは衛星か

「あなたは根拠のないうわさを流してはならない」(旧約聖書・出エジプト記23・1)。「流言蜚語(りゅうげん・ひご)」という古い言葉がある。うその情報だ。これは透明性の高い社会では生まれない。たとい流れても、すぐ是正される。独裁政権のもと言論の自…

色あせくすみゆく美しさ

わが家に、20年使いこんだ大机がある。長さ190cm、はばは90cm。もちろん食事のテーブルに使う。いつもは家内と2人差し向かいだが、向かいあわせで6人座れる。聖書の集会では8人掛けになる。定期の聖書集会では、この大机を中心に、20人ほどがいつも集まった…

甲子園、それぞれの聖地

いま甲子園で、春の選抜高校野球大会が開催中だ。甲子園。これはたんなる地名ではない。甲子園。この名を聞いただけで、野球好きの青少年は魂をゆさぶられる。そんな場所は甲子園をおいて日本中どこにもない。いや、世界でも珍しい場所。それが甲子園だ。 甲…

結婚式式辞・鋏と愛

わたしは、42歳から頭の髪を自分で刈り始め、42年たっていま84歳。だから鋏との付き合いは長い。そして鋏ほど結婚の奥義を教えてくれるものは少ないのです。 まず鋏は2枚の刃が別々に造られます。本日の新郎は大阪で、新婦は長崎で生まれ育ち、それぞれ大学…

政権交代がわたしのすべて

3月10日、民主党の小沢一郎代表が、西松建設からの献金疑惑で、公設第1秘書の逮捕を受け記者会見をした。そのとき「政治生命をかけ、政権交替をはかるのが、わたしのすべて」と語った(朝日新聞11日朝刊)。これを聞いて「こりゃだめだ」とわたしは思った。…

世界史地図

わたしは世界史地図をときどき眺める。大帝国もつぎつぎ色が塗り替えられるのが面白く痛ましい。 ローマ帝国の領域に沿って、1世紀から6世紀にかけ、キリスト教が広がるかと思えば、7世紀にイスラムが勃興すると、あっというまに、中東から北アフリカやスペ…

職員組合と聖書研究会

2月27日(金)の昼休み。東京はおりからの雪だった。 わたしは地下鉄の永田町から地上に出て、久しぶりに国立国会図書館に入った。ここは、むかしドイツ大使館跡で、60年前は米軍の爆撃で瓦礫の山。ただ交差点を渡ったところに立つ、一本の楠の大樹だけが大…

苦しいとき、二度、教育改革を断行した日本

きのう牡丹の根周りを掘り、牛糞と完熟肥料を埋めた。これで5月に大輪の赤い花を咲かすだろう。冬枯れの、寒風吹きすさぶときに肥料を入れる。草木も、個人も、国家も、これが大事だ。 日本という国は、徳川幕府軍との戦争が終わった直後の1872(明治5)年と…

日本のトップリーダーと民衆

麻生内閣の支持率が9.7%の、ひとけた台に下がったという。ぶざまな安部内閣、投げ出しの福田内閣につづき、あきれるばかりのトップリーダーたちだ。しかし驚くことはない。日本という国は、もう400年も、すごいトップなしで、なんとかやってきた国だ。 信長…

朝めし前の運動

朝の運動は、歯ブラシをポンと上に飛ばし、落ちるのをパット手でつかむ瞬発力の確認から始める。つぎがうがい。水を口にふくみ、どれだけ後ろの壁が見えるかを測る。それに水を鼻から吸い込んで、水で何度も鼻をかむ。これで風邪を引かない。 ついで床に腰を…

三つの葬儀

正月の3日、墨を磨って書初めを始めたとき電話が鳴った。古い友人からだ。いま57歳の娘さんが召されたという。司式を頼まれる。40日あまり前、わたしが病床で洗礼をした女性だ。病院に駆けつけ遺族に葬儀社を交え相談。まず葬儀場の選定。幸い病院付属の教会…

木を植える

内村鑑三は「われ、明日死ぬと聞かば、今日、木を植えん」と言った。大地に木を植えることは、大事なことだ。どこかの国では、木を一本切ると、木を二本植えねばならぬ法律があるという。近海の魚は山の森で育つと聞いた。 ジャン・ジオノの「木を植えた人」…

韓国とキリスト教とオンドル

1967(昭和42)年2月、初めて韓国へ渡った。当時、国立国会図書館調査局文教課長だったわたしを、大韓教育連合会が招請し、米国アジア財団が旅費を出してくれた。20日余りの教育調査。42歳のとき。今84歳。日韓基本条約が締結されてまだ14か月。ソウルの街を…

ゴリアトになったイスラエル

ユダヤ人はすごい民族だ。一度ならず、二度までも、むかしから、ほかの民族が住んでいる土地に「ここは、ご先祖さまに神さまがくださると約束された土地だ。どいてくれ」と言って攻め込んだ。最初は紀元前1250年ころ、旧約聖書「ヨシュア記」から始まるパレ…

なんという恵み、なんという喜び

昨年はじめ、主許したまわば、冊子版の「藤尾正人 インターネット聖書ばなし」の刊行を願いました。そのさいスーパーの売れ筋を参考にしたのです。「新鮮」「おいしい」「包装がきれい」「値段が安い」「冷蔵庫で小分けができる」。 そこで考えたのは、内容…