仏教寺院本堂でキリスト教の葬儀

仏教寺院の本堂で、キリスト教の葬儀の司式をしたことがあります。 1971年12月23日、名古屋で桜井錠一さんが主に召されました。74歳でした。わたしの妹、初穂の主人・桜井宣隆さんの父上です。宣隆さんは、無教会の政池仁先生の信仰の弟子でした。すでに宣隆…

ほっとしなけりゃ福音じゃない

「ほっとしなけりゃ福音じゃない」ということばが、わたしの頭にひらめいたのは、フジテレビのコマーシャル「おもしろくなけりゃテレビじゃない」を耳にしたときです。1982年(昭和57)のこと。おやっとおもいました。そうだ、キリスト信仰も「ほっとしなけ…

「奇異なる信仰」 内村鑑三の「わが事業」

いまからちょうど100年まえの1915(大正4)年、内村鑑三が「奇異なる信仰」という短文を書きました。100年たってもその文章が光っています。 「わが事業は、信者をつくることではない。聖書を講じることでもない。霊魂を救うことでもない。わが事業は、イエ…

ハンセン病の友ら偉大ぞ

4月22日(水)、いつものように日帰りで、宮城県北端の白鳥去来で有名な伊豆沼近くの「いそちゃん」に会ってきました。「みちのくの友らたずねて五十年われも老いたり磯乃も老いけり」 国立ハンセン病療養所・東北新生園は、50年前の1965年・昭和40年ころ、…

長谷川洋子著「サザエさんの東京物語」

<4月から、5日、15日、25日掲載の「5の日・旬刊ブログ」とします> 長谷川町子さんの妹の洋子さまが書かれた「サザエさんの東京物語」が、こんど文庫本(文春文庫、2015年3月刊)になりました。2008年に単行本で出たときも著者からいただき読んだは…

姫路の白鷺城・本物を見る

<4月からこのブログは、5日、15日、25日掲載の「5の日ブログ」とします> 姫路の白鷺(はくろ)城の大天守閣が「平成の大改修」をへて、2015年3月末、威風堂々とその姿をあらわしました。世界遺産の貫禄です。無名の棟梁が雄大緻密な設計図を引き、…

パウロの「不合格」が感謝に

<4月からこのブログは、5日、15日、25日と「5 の日」に掲載します> この春、入学試験に合格された方々もあれば、不合格の方たちもいられます。しかし不合格になり希望どおりゆかなかったことが、のちのちその人にとっても「かえってよかった」思い…

「一書の人」になるな

北陸新幹線が3月14日に開通し、わたしの次男一家が住む金沢まで、以前は4時間もかかったのに、わずか2時間半で行けるようになりました。金沢や富山は、これからメディアの報道合戦の渦中におかれることでしょう。 たしかに北陸には、加賀百万石といわれる金…

H.ティーリケ 著「出会いと摂理」(鈴木皇訳)の刊行

ヘルムート・ティーリケは、著名なドイツの神学者です。ヒットラーのナチス政権時代には、哲学者・ヤスパースと共にハイデルベルグに幽閉されます。この本を翻訳したのは物理学徒の鈴木皇さん。彼がドイツへ留学したさい、酒枝義旗先生のすすめで当時ハンブ…

イエスさまの独り言のつぶやき。「渇く」「万事完了」

十字架の上で,イエスさまが口にされた「七つのことば」は有名です。 そのうち、二つは人間にむけて話されます(「ごらん、あなたの子、あなたの母」「あなたはきょう、わたしといっしょに楽園にいる」)。 さらに、三つは神さまにむけてのことばです(「父よ…

[イスラム国」に殺された二人の日本人の違い

[イスラム国」に殺された二人の日本人の話題で、連日メディアがにぎわっています。 しかし、この二人にきわだった違いがあります。 その一人・湯川遥菜さんは、昨年8月中旬、内戦のつづくシリアで「イスラム国」にスパイ容疑で拘束されました。なぜそんな危…

やさしいイスラム教徒 羊飼いの少年

けさ「イスラム国」が、日本人ジャーナリスト・後藤健二さんを殺害したと知りました。あってはならぬことです。ほんらいのイスラム教から逸脱しています。むかしトルコを旅したとき、イスラム教徒のやさしさと正直さにふれ、それまで教えられた「剣かコーラ…

天から舞い降りた四人の師友

不定期刊とします> わたしは不思議でなりません。1948(昭和23)年の初めに、天から生涯の師友が4人も舞い降りてきたのです。 第一は、酒枝義旗(さかえだ・よしたか)先生。そのころ満51歳、早稲田大学政治経済学部教授でした。1948年1月第2日曜日の朝、中…

九〇歳は人生のデザートコース

2015年1月6日、わたしは満九〇歳になりました。九〇歳といえば、料理でも最後のデザート・コースの場面です。 わたしは生まれながらひ弱く、医者は二〇歳まで生きないと診断し、両親は「それまで生きれば、主のご用に捧げる」と祈りました。そして九〇年。わ…

「週刊ブログ」から「月刊ブログ」に

来る2015年から、この「週刊ブログ」を、<毎月10日掲載>の「月刊ブログ」にいたします。理由は三つです。 まず、満九〇歳になったことです。九〇歳になれば、活動のレベルを一段下げてもお叱りを受けますまい。わたしは1924年(大正13)12月26日に生まれた…

貴くて低いクリスマス

「ちいさい秋みつけた」や「リンゴの唄」で有名な詩人・サトウ・ハチロウにこんな童謡がある。 /おん馬がないて/目がさめた/まぐさの桶の/イエスさま/泪(なみだ)の路の/頬っぺたに/ぽつんとついてる/からす麦/起っきしたのと/マリアさま/添乳(そえじ)を…

清水望さん、主に召される

憲法学者の清水望さんが、12月3日(水)主に召された。90歳だった。ご家族を中心にした告別式が12月6日(土)にあった。わたしはご遺族からその司式をたのまれた。 彼の生涯をふりかえると、二本の大きな柱が立っている。一本は「キリスト信仰」。これは90年の…

「聖書ばなし」第9集、第10集の刊行

1944年晩秋に浅田正吉先生に導かれて洗礼を受けてから満70年になります。1948年春、酒枝義旗先生から喜びの福音を教えられて66年になります。その後、ものを書くとき、日本人らしい日本語で福音をわかりやすく伝えたいとずっとおもってきました。 1996年から…

「老人の会話はつねに新鮮」「キリストの福音もつねに新鮮」

日本では「年寄りの繰り言(ごと)」といって、老人が同じ話をするのをいやがります。しかし白洋舎をつくられた五十嵐健治翁は、それを逆手にとって「老人の会話はつねに新鮮」と言われました。老人同士だと、同じ話でも、前に聞いたことを相手も忘れて「あ…

伝道と謝礼 パウロの深呼吸

伝道者が聖書の話をすると謝礼をいただきますが、伝道者は福音を語るのが第一です。、空の鳥を養われる主を仰ぎお金から手を放しています。報酬は与えられなくて感謝、少なくても感謝。多くて感謝です。 聖書のお話に行って、いただいた封筒に、お金が入って…

寄らばキリストの陰・聖なるのんき

「寄らば大樹の陰」ということば。「同じ頼るなら、しっかりしたところに頼れ」という意味です。人間だれしも、仏教の大伽藍、イスラム教の大モスク、カトリックの大聖堂に入ると、小さい自分も、大きなものに包まれて、なにか気持ちが落ちつき、安心感が生…

「よそ行きの顔」と「ふだんの顔」

むかし、なにか家でめでたいことがあり、写真屋さんを呼んで集合写真を撮るとき、「よそ(他所)行きの顔をして」と言われたものです。ふだんのふざけた顔でなく、人さまに見られて恥ずかしくない、まじめな顔になれという注意でした。家で写真を撮るのは年…

水平の祈りと垂直の祈り

ある無教会の集会に出たときのことです。司会者が「〇〇先生、閉会のお祈りを」と頼まれると、やおら立ち上がられた先生は、「神さま、わたしと内村鑑三先生との関係は大正〇〇年に始まり」と、ながながと内村の話をされたのに驚きました。お祈りというので…

ひょんなことから自分の頭を

ひょんなことから、もう半世紀近く理髪店と縁が切れました。1965(昭和40)年、当時勤めていた国立国会図書館の地下に理容室があり、予約すると仕事の合間に散髪ができたのです。散髪ぎらいなわたしが、1ヵ月半も毛を伸ばしてそこへ行くと、髪の量の多さにあ…

引越し民族・賢いユダヤ人

「しょっちゅう引越しをしていたから、ユダヤ民族は賢くなった」と、ユダヤ系女性と結婚した友人から聞きました。 ユダヤは、紀元七〇年にローマ帝国により滅ぼされてから、世界中に離散(ディアスポラ)しました。自分たちを守ってくれる政府も軍隊もありま…

「愛称」「敬称」「尊称」

日本には「世界でも珍しい驚くべき風習」があります。なんでもかんでも、物でも人でも「愛称」「敬称」でよぶことです。また目上の方への「尊称」も忘れません。 まずは「ちゃん」づけの「愛称」です。「あかちゃん」「坊ちゃん」「お孃ちゃん」、「父ちゃん…

罪とゆるし

「罪とゆるし」。これは聖書の最大のテーマ。そのハイライトがキリストの十字架です。旧約聖書にも「ヨセフとその兄弟」に、罪とゆるしの実例を見ます。ヨセフは兄たちが自分をエジプトの奴隷商人に「売ったこと」を「神さまの派遣」ととらえてゆるしていま…

正しい人が自分を罰すると相手が変わる

新島襄は1880年・明治13年に、同志社で学生の授業ボイコット事件が起こったとき、校則に従い、徳富猪一郎らの学生を処分すべきところ、事件の責任は同志社にある、校長の自分にあると、礼拝後「諸君、ごめん」と杖をふりあげ左手をうちつづけ、皮膚が破れて…

「天路歴程」の深くも浅くもなる川の「彼岸」

お彼岸(ひがん)です。「彼岸」と聞くと、わたしはバニヤンの「天路歴程」(The Pilgrim's Progress)第1部の最後の「川渡り」をおもいだします。リンカーンも丸太小屋で「聖書」と「天路歴程」は愛読したという名著。その夢物語りのあらすじはこうです。 …

片手でくるまの運転。片手わざ

9月5日の夜、東京・初台の東京オペラシティ・コンサートホールで、日本の「ユーオーディア管弦楽団・合唱団」と台湾の「音契合唱管弦楽団」の合同演奏会が開かれ指定券をいただきました。ともにキリスト教の音楽団体です。 チャイコフスキーの「交響曲5番・…